「日本は生まれて一ヵ月以内の新生児の死亡率が最も低い国」
これは、ユニセフが発表した、世界各国の新生児死亡率を比較する報告書の結果から言えることです。
→新生児の死亡率、日本は最低 ユニセフ調査 :日本経済新聞
日本で生まれた千人の赤ちゃんの出産に対して死亡した赤ちゃんが0.9人であるのに対し、先進国でもカナダで3.2人、アメリカで3.7人、最も多かったパキスタンでは45.6人で実に日本の約50倍の生まれたばかりの赤ちゃんが亡くなっているという衝撃的かつ悲しい現実が明らかになりました。
日本で新生児の死亡率が低い理由
日本の新生児の死亡率が先進国においても極めて高い主要な理由の一つに、病院における高水準の衛生環境および退院してからの正しい衛生指導がなされていることが挙げられます。なぜなら、新生児の死亡原因の8割以上が合併症と感染症だからです。清潔な環境さえあれば、助かる命が多いのです。
私たち一般社団法人福祉感染予防サポート協会では、まだまだ日本の医療機関や福祉施設、飲食店や会社などにおいては、正しい衛生管理指導や教育、そして実践がなされていないと認識し啓発しています。
公の場所での正しい感染予防を日本社会に普及させるため日々私共は活動しているわけですが、子を持つ母であり複数回の出産経験のある私は、新生児の衛生環境だけは極めて注意深く管理指導実践している病院が多いと実感しています。
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赤ちゃんのオムツを替える度に石鹸で手を洗う。
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赤ちゃんが直接口にする哺乳瓶や食器の熱湯煮沸消毒や薬品による消毒。
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間接的に赤ちゃんが口にするであろうおもちゃ等の定期消毒。
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外から帰ってきた父親が赤ちゃんを抱っこする前の手洗い。
(※消毒薬は人体に全く無害とはいえません。赤ちゃんが口にするであろうおもちゃ等は、毎日洗浄し、汚物等の汚染があると思われる場合は既定の消毒薬で消毒というように、消毒の必要性を吟味することが必要です。)
上記はいずれも基本的な衛生管理指導ですが、この基本が実践されていることで、日本の赤ちゃんは世界で最も安全で恵まれた環境にいるといえます。
しかし日本も全てが衛生的ではない
しかしながら、残念なことに日本では、新生児をとりまく環境以外での公の施設等での正しい衛生管理指導実践はなされていないことが実に多いのです。
たとえば、ドアノブをしっかり持って捻って、あるいは押したり引いたりしてドアを開閉する公のトイレが町中には多く見られます。わりと新しい最新設備の公用ビルでも、このようなタイプのトイレにしてしまうことがあり、衛生管理上の無理解に私共は危機感を抱いています。
トイレでの排泄行為の後、とても多くの有害物質が手に付着しているかは言わずもがなでしょう。しかしながら、トイレから出てきた人たちを観察していると、石鹸を用いて、あるいは流水で30秒以上の正しい手洗いが出来ている人の割合は決して多くないことに気付くはずです。
つまり、沢山の有害な菌が付着した手でドアノブを握ってトイレから出なければいけないことで、せっかく正しい手洗い方法が実践されている人にまで、感染症のリスクを負わせてしまっているわけです。
私たち一般社団法人福祉感染予防サポート協会では、定期的に会社や病院、医療・福祉施設や飲食店など、公の場所での衛生管理がされているかの客観的評価を行っています。
NASAでも使用される高精度のATP検査機を用いた菌の測定も同時に行うため、「毎日掃除しているから綺麗なはず」などといった、主観や感覚での評価ではなく、客観的・科学的な評価がなされているといえます。
ご利用の施設に、当協会の認定証が置いてあるということは、安心して過ごせる環境が担保されている証です。
日本は安全に慣れすぎているのかも
余談ですが、公の場での感染症の多い外国から来た人たちの方が危機感があるのか、観光地のトイレなどではハンドソープをしっかり使用して十分に流水で流すという正しい手洗いが日本人よりもできている光景をよく目にします。
ぜひ一度、お近くのデパートのトイレなどで観察されてみてはいかがでしょうか。もしも私共の考察と異なる結果が出ましたら、ぜひ当協会へご意見をお寄せください。